第2回 La Traviata
今回は前回の『アイーダ』に引き続き、G.ヴェルディが作曲した『ラ・トラヴィアータ』を取り上げたいと思います。このオペラの中にも、合唱が活躍するシーンが登場するので今日はその曲をご紹介します♪
しかしこの作品名、???と思う方も多いかと思いますが、日本ではよく『椿姫』と呼ばれています。
この言葉を聞くと、ピン!!!!!!とくるという人もいるかもしれませんね。
この『椿姫』はヴェルディの中でも最も有名と言える作品なのではないでしょうか。
でも、実は“椿姫”というのは、“La Traviata”の直訳ではありません。
なぜこの“椿姫”という言葉が有名になったのか…
日本ではこのオペラの原作である「椿姫」(フランス語でLa Dame aux camélias(椿の花の貴婦人)の意訳)として上演されることが多かったからです。
ちなみに、La Traviataの直訳は“道を踏み外した女”といい、それはまさにヒロインであるヴィオレッタのことをさします。
なぜ、ヴィオレッタが道を踏み外した女なのか…
まずは簡単なあらすじ紹介からいきましょう。
話の内容は?
舞台は18世紀初頭のパリ
田舎の青年貴族アルフレードは、パリの社交界で一番人気であったヴィオレッタ(高級娼婦)の館で行われたパーティーで「乾杯の歌」を披露し場を盛り上げます。二人きりになると以前から想いを寄せていたヴィオレッタに自分の気持ちを告げ、彼の一途な想いに心打たれたヴィオレッタは本当の愛を知り、二人でパリ郊外の家で幸せに暮らします。
しかし、アルフレードの父は息子と高級娼婦との恋を認めず、二人は離れ離れになることに…
数ヶ月後、二人は再び出会うことができますが、その時すでにヴィオレッタは病により余命わずで、彼女は幸せだった日々を思い返しながら愛するアルフレードの腕の中で、引き取ります。
『アイーダ』もそうですが、このオペラも本当に悲しい物語で…
涙なしに聞くことはできませんね。
また、この悲しい物語を美しい音楽が流れることによってより一層物語の悲しみが深まります。
そして、ヴィオレッタが普通の女性ではなく、高級娼婦だったことから“道を踏み外した女”とされたのです。
余談はさておき、では『椿姫』の中で合唱が活躍する曲ってなに?
と思われる方もいると思います。
簡単なあらすじにも書きましたが「乾杯の歌」で合唱はまさに盛り上げ隊として活躍します!
アルフレードから始まりヴィオレッタそして合唱がパーティーでのシーンをより一層華やかに場を盛り上げます。
このシーンもThe Opera というような豪華な演出のものが多く、女性は特に様々なドレスを着ていることもあり視覚的にも楽しめるでしょう。
それでは、実際どのようなシーンなのか見てみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=afhAqMeeQJk
この曲聞いたことある!という方も多かったのではないでしょうか?
「乾杯の歌」よく演奏会の最後に出演者全員で歌われたりもします♪
物語は悲しい恋の話ですが、この曲はこの作品の中でもとびきり明るく思わず口ずさみながら体を揺らしたくなる一曲です!
では、どのようなこと歌っているのでしょうか。
歌詞を見てみましょう。
(アルフレード)
Libiam ne' lieti calici che la bellezza infiora, E la fuggevol ora s'inebri a voluttà.
Libiam ne' dolci fremiti che suscita l'amore, Poiché quell'occhio al core onnipotente va.
Libiamo, amor fra i calici più caldi baci avrà.
(全員(合唱など))
Libiamo, amor fra i calici più caldi baci avrà.
(アルフレード)
乾杯しよう、美しさで飾り立てる幸せな杯に、そして つかの間の時間が 喜びに酔いしれる
乾杯しよう、愛が引き起こす甘美なざわめきの中で、あの眼差しが絶大な力で心に向けられるから
乾杯しよう、愛は杯の間でより熱い口づけとなる
(全員(合唱など))
乾杯しよう、愛は杯の間でより熱い口づけとなる
(ヴィオレッタ)
Tra voi saprò dividere il tempo mio giocondo;Tutto è follia nel mondo ciò che non è piacer.
Godiam, fugace e rapido è il gaudio dell'amore;È un fior che nasce e muore,né più si può goder.
Godiam c'invita un fervido accento lusinghier.
(全員)
Godiam la tazza e il cantico la notte abbella e il riso;
In questo paradiso ne scopra il nuovo dì.
(ヴィオレッタ)
あなたたちとなら、私の楽しい時間を分かち合うことができるでしょう。この世はすべては狂気なの、喜びでないものは
楽しみましょう、愛の歓喜はつかの間で早いものなのです。それは生まれては枯れる花で、もう満足することができないのです
楽しみましょう、熱烈な喜ばしい言葉が私たちを招待するのです
(全員)
楽しみましょう、酒と歌は夜と笑いを美しくします
この楽園の中に新たな一日が現れますように
(ヴィオレッタ)
La vita è nel tripudio.
(アルフレード)
Quando non s'ami ancora.
(ヴィオレッタ)
Nol dite a chi l'ignora.
(アルフレード)
È il mio destin così
(全員)
Godiam la tazza e il cantico la notte abbella e il riso;
In questo paradiso ne scopra il nuovo dì.
(ヴィオレッタ)
人生は歓喜にあるのよ
(アルフレード)
まだ恋をしていない時は
(ヴィオレッタ)
それを知らない人に言わないで
(アルフレード)
私の運命はこうなのです
(全員)
楽しみましょう、酒と歌は夜と笑いを美しくします
この楽園の中に新たな一日が現れますように
アルフレードのヴィオレッタへの溢れる想いが加速していくよう様子が見て取れる歌詞になっていて、次の場面への予感をさせます。
そして、合唱はとにかくこの場が楽しくて楽しくてたまらないといった様子で、陽気にかつ品を持って歌い続けます。
いかがだったでしょうか?
第2回も耳馴染みのある曲をお送りしました!
しかし、「乾杯」といえば忘れてはいけないアノ歌も!!!
これだけでわかったあなたはオペラ通…!!かもしれませんね。
それではまた次回もお楽しみに!
Arrivederci!