オペラ。日本語では「歌劇」と呼称されますが、元々はラテン語で「仕事」の意味。華々しい舞台の上の世界は、劇場における氷山の一角でしかありません。「オペラのウラのウラ」では、VOTメンバー・竹内の経験等も踏まえながら、客席からは見えないたくさんの「仕事」を担う裏方の世界は置いといて、普通の人は知らなそうなことを徒然なるままに書き連ねる「豆知識シリーズ」!!
今回は前回に引き続き照明設備について詳しくご紹介!待望の後編です!!
(誰も待ってない)
すでに申し上げた通りその道のプロじゃないんで、細かい機材の特徴とかはわかりません。ざっくりとした概要に留まることをお許しください。
それでは後編どうぞ!
【ステージサイドスポットライト】
通称「SS」。袖幕の陰に置き、舞台の真横から舞台上を照らします。舞台上の装置や演者の立ち位置でさまざまな効果を出すことができます。使いようによってはめちゃくちゃかっこよくできるので、個人的にすごく好きな照明です。どんな風にかっこいいか?続きはオペラで!
サスと違って天井に吊らず、このような感じで立てて使うことがほとんどです。
【フォローピンスポットライト】
いわゆる「ピンスポット」というやつです。特定の人物を人力で追いかけ、照らし続けてくれます。明かりの大きさ、強さ、色味は操縦者が自在に変えられますが、慣れるまではすごく難しいらしく、若手スタッフがめちゃくちゃ怒られてるのをインカムで聞いたことがあります…元気かな、彼。
このようにスタンドに立てて、オペレーターが直接手で操作します。照明レベルを操作する「フェーダーユニット」等を付けて自分で調整することもあります。使用中は激熱になります。いろんな意味で過酷な仕事です。
過去に照明オペレーターとして入った現場で、ある女性歌手が「ここで私をピンスポで追いかけてほしい」ということを言われましたが、その方はどうも自動で追尾しているものと思ってたようです。その時のスタッフは竹内だけだったので、説明して納得していただけましたが、プリマドンナってすごいな…と思った瞬間でした。
「オペラのウラのウラ」を書き始めるきっかけになった出来事のひとつです。感謝。
【その他の効果照明】
照明は、人や舞台を照らすだけでなく、特殊な効果を持つものもあったりします。一番有名なのは「ミラーボール」ですね。クラブとかにあるあれです。クラブ行ったことないけど。
オペラでよく使うのは、光の揺らめきで波を表現するものや、木陰を表現するものなど、装置だけでは表現しきれない情景や心理描写を表現することができます。
【照明操作卓】
上記の照明機材は、ピンスポを除くすべてを1人のオペレーターが操作します。回路を一括で管理する機材を「照明操作卓」または「照明卓」と呼びます。それぞれのボリュームは「フェーダー」と呼ばれる調整つまみで操作することができ、各回路とフェーダーを紐づけするのも照明卓で行います。オペラでは場面ごとに細かい調整が必要です。それに対応するため、場面ごとに各ボリュームを記録し、順番に入力することで、ボタン一つで次の場面に切り替えることもできたりします。
これだけの精密機械になると、お値段もめちゃくちゃ高いです。
例えばこれとか小さめサイズですが、お値段250万円。プロ仕様はこれにモニターとか付きます。先々週の旅公演中、某照明業者の若い方が「竹内さん使い方教えますよ!」と言ってくれてましたが、全力でお断りしておきました。覚えてなくても入社を勧められまくってるので、もし覚えちゃったら…まぁちょっと知ってるんですけど。ごめんねM君、もうちょっと歌いたいんだ…。
【美しく熱い(物理)照明の世界】
2回に分けてご紹介した照明シリーズ、いかがでしたでしょうか?実際には、それぞれ機材によって微妙に明かりの出方が変わるため、演出に適した機材を選び出さなければなりません。それらを100%熟知し、効果的な照明を作り上げるには、長い年月と経験が必要不可欠です。こうして出来た照明は、時に芝居や音楽、演出を超越した世界を作り出したり。要するにすごくすごいんです。()
どうやら業界は慢性的に人手不足なようですので、「オペラ好きだけど人前で歌うのはちょっと…」みたいな人はぜひ検討してみては?
…就職斡旋ブログみたいになっちゃった…