第3回 Die Fledermaus
みなさん、こんにちは!
今回は前回の予告通り「乾杯!」といえば忘れてはいけないオペレッタを取り上げます!
どの作品かもうお察しはつきましたか?
そう、「乾杯」もしくは「シャンパンの歌」として有名な、『こうもり』です!
前回お届けした、『椿姫』の「乾杯」は割と優雅な曲調となっていますが、この『こうもり』はなんとも明るく陽気な音楽となっています。
オルロフスキー、アデーレ、アイゼンシュタインがそれぞれ歌い、前回同様合唱隊がパーティーをより一層盛り上げます♪
しかし、なんでオペラのタイトルが『Die Fledermaus (こうもり)』なの?
と思われる方もいると思います。
そこで少し解説…
話は、このオペレッタが始まる前に遡ります。
ある日仮装舞踏会に「蝶」の仮装で出席したアイゼンシュタイン(この物語の主人公であり、ドッキリを仕掛けられるターゲット)と「こうもり」の仮装で出席した友人ファルケ博士(ドッキリの仕掛け人)。
彼らは舞踏会を楽しみ、ファルケは酔いつぶれ街中で仮装したまま寝てしまいました。
しかし、アイゼンシュタインはファルケを介抱することなく街中に彼を放置したまま帰宅しました。
翌朝、「こうもり」の仮装をしたままのファルケはたくさんの人たちにその姿を見られ、それをきっかけに「こうもり博士」というあだ名が付いてしまいました。
よって、このオペレッタのタイトルである、『こうもり』とはファルケのことを指し、その内容はファルケの復讐劇となっているのです。
この前提を知るか知らないかで、ファルケの印象も変わると思うので知っていて損はないでしょう!
(数年前にVivid Opera Tokyo でも『こうもり』を上演したことがありますが、このプロローグ部分も描かれています)
そういえば、さっきからオペラじゃなくて、オペレッタと言っているけど言い間違い?
と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、いえいえそうではありません。
オペレッタとは、基本的には喜劇のものを指し、オペラが音楽中心で作られているのに対し、オペレッタは台詞の部分もとても多く、演劇的な要素が強い作品のことを言います。
では、そろそろ話の内容の説明に移りましょう。
話の内容は?
大晦日。お金持ちの主人公アイゼンシュタインはとある事件により刑務所に収監されることになり落ち込んでいると、彼の友人ファルケが刑務所に行く前に彼をオルロフスキー邸で行われるパーティーへ誘い、出かけて行きます。
一方、アイゼンシュタインの妻ロザリンデの元恋人アルフレードが夫の留守宅にこっそり彼女の元を訪れるとそこへ刑務所長のフランクがやって来て、誤ってアルフレードが連行されることに。
その晩オルロフスキー邸のパーティーに名前を偽って参加したアイゼンシュタイン、仮面をつけ身元を隠したロザリンデと着飾り自分を女優と偽っているメイドのアデーレたちが集まることに。お互いが自分の本当の姿を隠すことに必死になりながらもパーティーを満喫し、全員で「シャンパンの歌」を歌い、場の盛り上がりは最高潮を迎える。
パーティーが終わり、アイゼンシュタインが刑務所へ向かったところでファルケが全てを種明かし!
こうもりの復讐劇は大成功となり、幕となります。
ここでは簡単なあらすじのみになってしまいますが、どの場面を切り取って愉快なものとなっていて、どのキャラクターを中心にみるかによって楽しむ方も変わってくるとても楽しい作品です。
ぜひオペラ初心者にはオススメの一本ですね!
さてさて、このオペレッタで合唱が活躍するのは、何と言っても「シャンパンの歌」!
『椿姫』同様、パーティーのシーンということもありとても華やかなものとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=29ZOpP_yXSY&list=PL738iiVaNLtOka5gshHL6YDvHeSH1uUNl
あ、これ聴いたことある!と思った人もいるのではないでしょうか?
日本では、日本語歌詞で演奏会の終わりに歌われることもあり、一気に場が盛り上がり、華やかになりますね♪
それでは次にどんなことを歌っているのか見て見ましょう。
(ORLOFSKY)
Im Feuerstrom der Reben , Tralalalalala, la la
sprüht ein himmlisch Leben , Tralalalalala, la.
Die Könige , die Kaiser , lieben Lorbeerreiser,
doch lieben sie daneben den süßen Saft der Reben.
Stoßt an , stoßt an und huldigt im Vereine dem König aller Weine,
(オルロフスキー)
ワインの炎の流れの中に 天国の生活が満ち溢れる
王様、皇帝は栄光を愛する だが何より甘いワインの精を愛する
乾杯! 声を合わせて酒の王を讃えよう
(Alle)
※ Stoßt an ! Stoßt an ! Stoßt an !
Die Majestät wird anerkannt , anerkannt rings im Land;
jubelnd wird Champagner der Erste sie genannt !
(全員)
※乾杯 乾杯!
王の地位は国中が認める
シャンパンは酒の王と呼ばれる
王者シャンパン 万歳!
(ADELE)
Dir huldigen Nationen , Tralalalalala, la la
bis zu fernsten Zonen , Tralalalalala, la.
Champagner schwemmt mitunter gar Mancherlei hinunter,
drum lassen weise Fürsten die Völker niemals dürsten.
(アデーレ)
すべての国民が敬意を表する 遠くの所の人まで
シャンパンは時折様々なものを押し流す!
賢い領主は決して酒を絶やさない!
※繰り返し
(EISENSTEIN)
Der Mönch in stiller Zelle , Tralalalalala, la la
labt sich an der Quelle, Tralalalalala, la.
Zu netzen seine Lippen, muß viel und oft er nippen
und holt sich aus dem Glase Rubinen auf die Nase.
(アイゼンシュタイン)
静かな小部屋の僧侶も 酒の泉でさわやかな気分になる
唇を潤すには たくさん必要
ワインのルビーの香りを鼻で嗅ぐ
※繰り返し
お酒のことを歌い、明るく楽しい雰囲気が伝わってくる内容になっていますね!
歌詞の中にもStoßt an! (乾杯!)と出てくるのがまたユーモアがあり楽しいところです。
Vivid Opera Tokyoでの公演の際もこのシーンは大いに盛り上がりました!
今回で3回目を迎えた合唱シリーズですが、ここまでは割と有名な曲を紹介してきました。
次回は聴いたことあるけど、そのオペラの中の楽曲だったの!?というものを紹介したいと思います。
それでは次回もお楽しみに!
Auf Wiedersehen!