第4回 Lohengrin
みなさん、こんにちは!
今回取り上げるオペラはタイトルを知っている人があまりいない作品かもしれません。
しかし、その中で合唱が歌っている曲を聞けば、多くの人が「ああ〜、この曲知ってる!」となるでしょう。
みなさんは結婚式という言葉を聞いたらどんな音楽を思い浮かべますか?
ポップスや洋楽など様々なジャンルのものを思い起こす人もいるでしょう。
そのほかにクラシックの楽曲を思い起こす人も多いと思います。
その中でも、“結婚式”という言葉を聞いてこの曲を連想する人も多いのではないのでしょうか
↓
https://www.youtube.com/watch?v=LXFdY7YdMA0
概要欄を見て…
このオペラの中の曲なの!?
この作曲家の作品なの!?
一体この作曲家は誰???
など色々なことを思ったでしょう。
日本の結婚式でも頻繁に使用されるこの「婚礼の合唱」は、R.ワーグナーの『Lohengrin ローエングリン』の劇中で歌われる曲です。
しかし、一体ワーグナーとはどのような人物なのでしょうか?
ここでワーグナーについてちょっと解説しましょう♪
リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner 1813.5.22 – 1883.2.13) は第1.2回でも取り上げた作曲家ヴェルディと同時代に活躍した作曲家で、イタリアではヴェルディ、ドイツではワーグナーと言われるほど、オペラ界において重要な作曲家といえるでしょう。
彼の作品の中でも特に有名なものは『ニーベルングの指環』です。この作品は全部で4つの作品からなるもので、一つ一つが単独で上演されることも多いのですが、話が繋がっているので順番に最初から見ていくと面白さが倍増するでしょう♪
ただ、、、4つ一気に観ようとするととてつも長く大変なので少しずつ見ることをオススメします!
また、ワーグナーが他のオペラ作曲家と異なる点は、台本を自ら書いていたということでしょう。
音楽を考えるだけでもとても大変そうなのに、台本まで作ってしまうとは…
おそるべき男ですね!
今回取り上げる『ローエングリン』も彼自身が台本も書きました。
では、『ローエングリン』とはどんな作品なのでしょうか?
少し解説を…
舞台は、10世紀前半のベルギーの地方アントウェルペンの湖畔。
ブラバンド公国の跡継ぎであるゴットフリートが突然失踪し、殺されたのではと実の姉エルザが疑いをかけられます。
しかし、実はこれはブラバンド公国の実権を狙うフリードリが、魔法使いの妻オルトルートと共に計画したことでした。
ハインリヒ王に問いただされたエルザは、夢に現れた白鳥の騎士が自分の潔白を証明してくれると話し、すると白鳥に曳かれた小舟に乗り騎士が現れました。
エルザの真偽を判断ずべく、白鳥の騎士とフリードリヒによる決闘が行われ、白鳥の騎士の勝利が勝利しました。
そしてエルザと騎士は、「決して白鳥の騎士の身元を訊ねない」という約束で結婚をする事になります。
一方、決闘に負けたハインリヒとオルトルートは諦めることなく、エルザに白鳥の騎士の疑惑を吹き込み、ハインリヒは群集に白鳥の騎士が決闘で魔法を使ったと言います。
それでもエルザは騎士を信頼し、二人は結婚することにします。ここで歌われるのが「婚礼の合唱」です。
白鳥の騎士の身元を聞かないという約束での結婚でしましたが、二人きりになったエルザはだんだん不安なり、ついに白鳥の騎士の素性を訊ねてしまいます。
白鳥の騎士は王やエルザ、兵士たちの前で「自分は聖杯を守護する王パルツィヴァルの息子ローエングリンである」と素性を明かします。
そして、素性を明かしてしまった以上この地を離れないといけないと、白鳥に曳かれた小舟が彼を迎えにやって来ます。
ローエングリンが祈りを捧げると、オルトルートの魔法が解け、白鳥が行方不明になっていたゴットフリートに変わります。
ローエングリンへ行ってしまった事にショックを受けたエルザは、ゴットフリートの腕の中で息絶えてしまいます。
「婚礼の合唱」はあんなにも幸せな音楽にもかかわらず、この作品そのものはとても悲しい終わりを迎えてしまうのですね。
オペラの内容だけを考えてしまうと、結婚式で流してもいいのかな?と思っていしまうようなものですが、この曲だけ切り取れば、物語の悲しさを上回る非常に美しい音楽なので、今でも結婚式のBGMなどとして使用されるのでしょう。
今回お見せする映像は少し変わった演出のものを…
https://www.youtube.com/watch?v=AHJsCYScFOQ
次に、どのような事を歌っているのか歌詞を見てみましょう。
Treulich geführt ziehet dahin,
wo euch der Segen der Liebe bewahr’!
Siegreicher Mut, Minnegewinn
eint euch in Treue zum seligsten Paar.
誠実に導かれそこへ進みなさい
愛の守る祝福の場所へ
勝利の勇気と 愛の恵みで
忠実な二人はこの上なく幸せな夫婦となる
Streiter der Tugend, schreite voran!
Zierde der Jugend, schreite voran!
Rauschen des Festes seid nun entronnen,
Wonne des Herzens sei euch gewonnen!
美徳の戦士よ、前へ歩きなさい
若き誉れよ、前へ歩きなさい
祝祭のざわめきから 逃れ
心の非常な喜びを手に入れてください!
Duftender Raum, zur Liebe geschmückt,
nehm’ euch nun auf, dem Glanze entrückt.
Treulich geführt ziehet nun ein,
wo euch der Segen der Liebe bewahr’!
Siegreicher Mut, Minne so rein
eint euch in Treue zum seligsten Paar.
香る部屋は 愛に飾られ
輝きから離れた者を迎えます
誠実に導かれそこへ進みなさい
愛の守る祝福の場所へ
勝利の勇気と 純粋な愛で
忠実な二人はこの上なく幸せな夫婦となる
音楽だけでなく、歌詞もエルザと白鳥の騎士の結婚を祝福する内容になっていますね!
ワーグナーを知っている人は彼に対していろいろなイメージを持っているかもしれませんが、まさかここまで幸福に溢れた音楽を書くことができるとはさすが大作曲家です!
まさか、こんなにも耳馴染みのあるメロディーがオペラの中の曲だとはと驚いた人も多かった今回だったのではないでしょうか?
このようにオペラは日常のあらゆる場面で流れているのでみなさんも気にかけてみると面白いかもしれません!
それではまた次回!!!
Auf Wiedersehen!