みなさん、こんにちは!
今回は、またまたヴェルディです!
彼が作曲した『ナブッコ』の中で合唱が歌う「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」を取り上げていきます。
合唱の演奏会などで歌われることもあったりするので、ご存知の方もいらっしゃるかも!
『ナブッコ』は旧約聖書が題材となっているヴェルディ第三作目のオペラで、この作品によって彼は一躍有名になりました。
順風満帆のように思えますが、実はこの作品を作曲する前のヴェルディは失意の底にあり、この台本を手にしてから数ヶ月作曲する事が出来なかったそうです。
しかし、今回取り上げる「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」の詩から霊感をえて、全曲を仕上げたようです。
そういった意味でも、この合唱曲は非常に重要なものになっています!
では『ナブッコ』というのがどのようなオペラなのか、簡単なあらすじから紹介しまし
ょう。
舞台は紀元前6世紀、エルサレムとバビロニアは敵対関係にありました。
バビロニア王であるナブッコ率いるバビロニア軍がヘブライ人(エルサレム)を攻撃しするが、ヘブライ人たちはナブッコの娘フェネーナを人質としています。
しかし、エルサレム王の甥イズマエーレとフェネーナは恋人関係にあり、イズマエーレは母国を裏切り、彼女を助け、ヘブライ人は負けてしまいます。
一方で、ナブッコと奴隷の間の子であり前線でともに戦っていたアビガイッレは「自分が奴隷の子であるために王位につけず、フェネーナが王位継承者になる。」と知り、復讐を誓います。
そして、神を冒涜したナブッコが雷に打たれ錯乱状態となり、アビガイッレが王座を奪い、彼女の挑発に乗せられたナブッコが「フェネーナやヘブライ人の死刑の執行状」にサインをしてしまいますが、正気に戻ったナブッコがフェネーナとヘブライ人たちの処刑を止めに入ります。
復権したナブッコがヘブライ人たちを解放し、アビガイッレはナブッコたちに許しを乞い毒を飲んで死にます。
祖国奪還がテーマになっているこのオペラは、当時ハプスブルクの支配下にあったイタリア人たちにとって、合唱曲を歌うヘブライ人を自分たちと重ね合わせた事により大好評を得たのではないでしょうか?
そして、イタリアではこの合唱曲を愛国の証として愛唱されるようです!
イタリアの人々にとってとても大事な曲である事がわかりますね!
では、ヴェルディの心を掴んだ合唱曲の歌詞がどのようなものなのか見てみましょう。
Va' pensiero, sull'ali dorate;
Va, ti posa sui clivi, sui colli,
Ove olezzano tepide e molli
L'aure dolci del suolo natal!
行け わが思いよ、黄金の翼に乗って
行け、小山や丘で横にたわり
温暖で穏やかないい香りがするところへ
誕生の国の優しいそよ風よ!
Del Giordano le rive saluta,
Di Sïonne le torri atterrate...
Oh mia patria sì bella e perduta!
Oh membranza sì cara e fatal!
ヨルダンの川に挨拶してくれ
倒されたシオンの塔にも...
ああ あれほど美しいわが祖国 そして失った!
ああ あれほど愛しい思い出 そして不運な!
Arpa d'or dei fatidici vati,
Perché muta dal salice pendi?
Le memorie nel petto raccendi,
Ci favella del tempo che fu!
今運命を予告する予言者たちのハープよ
なぜ柳に垂れて黙っている?
胸の中の記憶に再び火をともしてくれ
われらに過ぎ去りし日々について話してくれ
O simile di Solima ai fati
Traggi un suono di crudo lamento,
O t'ispiri il Signore un concento
Che ne infonda al patire virtù!
あるいはエルサレムの運命に似た
残酷な哀歌を歌ってくれ
または主に 心地よい響きを与えてくれ
それに耐えうる力を呼び覚ますための!
さて、今回はまたヴェルディのオペラの中より紹介しましたが次回は違う作曲家のものを取り上げたいと思います♪
それでは、また次回!
Arrivederci!