あんまり注目されない、でも面白い、本気出せば主役だってくっちゃうぜ!な名脇役たちを救済する夢のシリーズ☆
『名脇役シリーズ』第6弾はプッチーニ作曲《トゥーランドット》!!
初演:1926年4月25日スカラ座
原作:カルロ・ゴッツィ
台本:レナート・シモーニ、ジュゼッペ・アダーニ
お馴染みプッチーニさんですね。実はこのオペラ、プッチーニが最期に手がけたオペラです!制作にあたってはここでは語りきれないほど紆余曲折ありまして‥‥。
とにかくなかなか順調には進まず、未完のままプッチーニは亡くなります。
え!?未完なの!??
そうなんです、おそらく皆さんも一度は聞いたことがあるほど、圧倒的存在感のオペラなのに実は未完なのです。
《トゥーランドット》とは?
→中国。トゥーランドット姫に結婚を申し込む者は、姫が出題する3つの謎を解かなければならなかった。解けなかったものは容赦なく処刑される。残虐な挑戦は幾度となく行われていた。
流浪の王子カラフはトゥーランドットを一目見た途端恋に落ち、周りが止めるのも聞かず、3つの謎の挑戦に申し込んだ。そしてなんと、3つの謎全問正解(!?)。カラフは頭がいいのか、冴えてるのか、恋の力なのかよく分からないけれど、とにかくすごい人。これで晴れてトゥーランドットと結ばれるのかと思いきや、トゥーランドットは此の期に及んで「嫌だ!」と言い始める。するとカラフが「夜明けまでに私の名前を当てることが出来れば私の命を差し上げましょう」と逆に謎を出題します。カラフ余裕ありますねぇ。果たして姫は名前を当てることができるのか、二人は結ばれるのか‥‥?
怪しくて残酷で、壮大な愛のお話です。実は筆者が初めて生で見たオペラは《トゥーランドット》です。とにかくドラマに引き込まれて、感動で号泣したのを覚えています。
さて、今回紹介するのは、
リュー
この子は本当にいい子でいい子でいい子です。脇役とか言ってごめんなさい、ってくらい。リューはカラフの父、国を追われた王ティムールに付き添い、手となり足となり尽くしています。
相関図を見てみましょう。
カラフの父ティムールは戦に敗れ、国を追われた盲目の王です。またカラフも自分の居場所を見つけられないまま彷徨っていました。ある時、中国の北京にて父と息子は奇跡の再会を果たすのでした。
そこで、ティムールの為に時には物乞いをしながら献身的に支えていたのが、リュー。リューがティムール親子にここまで身を捧げる理由が衝撃です。
カラフ「なぜお前はここまで私達と苦しみを分かち合ってくれるんだい?」
リュー「それはある日‥‥宮殿であなた様が私に微笑んで下さったからです」
!!?
理由は「微笑んでくれたから」。なんて子でしょう‥‥。
カラフもトゥーランドットを一目見て命を賭ける覚悟をしたように、リューも微笑み一つで全てを捧げようと誓ったのです。リューは辛く苦しい時もカラフの微笑みの面影を唯一の糧として生きてきたのでしょうね。
生か死か、究極の二択を迫られる極限の時代では「愛」がいかに影響力を持っているのか分かりますね。
しかし、「愛」を知らない氷の心のトゥーランドット。カラフの名前を知る為にリューを拷問にかけて名前を吐かせようとするのでした。しかしリューは決して名前を明かさず、トゥーランドットに「愛の力」がいかに強いか話すのでした。そしてリューはカラフの愛のために自害します。
悲しく、儚く、しかし本当に強い女性です。
リューの死はこのあと物語を大きく動かしていきます‥‥。
オペラ《トゥーランドット》、「愛」とは何かを考えさせられる物語です。機会があれば是非観てみて下さい。
次回予告
→番外編!!!!