オペラ。日本語では「歌劇」と呼称されますが、元々はラテン語で「仕事」の意味。華々しい舞台の上の世界は、劇場における氷山の一角でしかありません。「オペラのウラのウラ」では、VOTメンバー・竹内の経験等も踏まえながら、客席からは見えないたくさんの「仕事」を担う裏方の世界をご紹介していきます。
…という謳い文句でいろいろ紹介していこうと思っていたんですが、それだけではあっという間にネタが切れちゃいそうなので、徒然なるままに私見を書き連ねる回を挟んでいこうと思います。理事長に怒られませんように...。
で、この序文で「竹内の経験等も踏まえ…」なんて偉そうなことを書いてるわけなんですが、今日はその辺のことをつらつらと書き連ねてみようと思います。
僕こと竹内は今年30歳になりまして、プロ現場に足を突っ込み始めて早8年が経とうとしてます。
僕にとっての初現場は「ルナノバ」という団体で、演目は「リゴレット」。大学の先輩に声をかけていただき合唱を務めました。
この団体にはその後6年にも渡ってお世話になったわけなんですが、この団体の特色として「仕込みも歌手がやる」というものがありました。たまたまインパクトドライバー…いわゆる電動ドリルドライバーの使い方を知っていたことから、「ドリル竹内」なんてあだ名もいただきました(笑)
この現場をきっかけに、その後様々な現場に「裏方」として呼ばれることになります。本当にたくさんの現場に行きました。ステマネ、舞台監督、舞台監督補佐、演出助手、照明操作、照明キュー、照明仕込み、オケの裏方は自分からごく短期間。最終的にはホールから直接発注が来たりもしました。
↑照明兼音響を務めた時の作業ブース。
めちゃくちゃ手元が忙しかった
裏方を通して学んだことは計り知れません。中でも特別な2つの学びがありました。支える側になって初めて知った「作る喜びと苦労」、そして歌手を舞台に見送るたびに、なんでそれが自分じゃないのだろうという悔しさ。裏方業は好きでしたが、回数を重ねるごとに、歌うことへの渇望は強くなりました。
↑転機となった公演。
舞台監督を務めました。
本気で僕を裏方にしようという方(あくまで善意で、だと思ってますが)が何人か現れたところで、楽しかった「副業兼下積み」の裏方業を手放しました。今は演奏を伴わない裏方仕事はほぼ全てお断りさせてもらっています。「出演ついでに仕込みバラしもお願いね」みたいなやつは喜んで引き受けていますので、ご依頼お待ちしています♡
本当は分かってるんですけどね、歌手よりも裏方の方が才能あるし向いてるって。ちょろっとかじっただけで照明の回路図読めるようになる歌手、なかなかいないでしょ。
でも、「才能」と「本当にやりたいこと」って一致してないことのほうが多いと思うんです。これらが一致してる人間を、人は「天才」って呼ぶのかも。それを知れたことも、僕にとって大きな財産なのかもしれません。
こんな感じで現場でかじっただけの浅い知識と経験を踏まえて、今後もいろいろ紹介していきます。書く前に改めて調べてはいますが、本業の方には申し訳ないくらい「ふーん、こういうものなのか」くらいで読んでいただけると幸いです。
僕らの訪問演奏などを通じて、若い人がこのホームページにたどり着き、裏方さんを目指す人が1人でも増えてくれたら、それもまた裏方業界への恩返しになるのかなぁ。そんな淡い期待も込めて、今後もお届けしてまいります。
うまくまとまらないけど、今日はこの辺で!