オペラ。日本語では「歌劇」と呼称されますが、元々はラテン語で「仕事」の意味。華々しい舞台の上の世界は、劇場における氷山の一角でしかありません。「オペラのウラのウラ」では、VOTメンバー・竹内の経験等も踏まえながら、客席からは見えないたくさんの「仕事」を担う裏方の世界をご紹介していきます。
今回は舞台を彩る舞台装置を作る「大道具」の世界。小さなものから大きなものまで、なんでも作ってしまうモノ作りのエキスパート集団。そんな大道具さんたちの仕事、実際に作られる大道具の数々ご紹介します!
※今回、他サイト様からの引用画像が多く含まれます。画像をクリックすると、元サイト様にジャンプできます。それを以って引用元の表示とさせていただきます。
【大道具ってどんな仕事?】
その名の通り、大規模な舞台装置の制作を一挙に担う人たちのことです。八百屋舞台やひな壇といった基礎構造から、背景パネルといった舞台美術、さらには二階建て三階建ての大規模な舞台装置まで、本当になんでも造ってしまいます。
大道具の仕事は、納品の数か月~数年前から始まります。舞台美術のデザインが完成すると、それを基に設計します。
【大道具の仕事①設計・実験】
設計は言わずもがな。人が乗る装置は特に強度が大切になってきます。いわゆる「筋交い(すじかい)」を施したり、強度の高い金属製の装置を用いたりして、安全性に配慮しています。そこまでの強度は要らない場合、木材、ブラスチック、発泡スチロールなどそれぞれの特性を活かして選び、強度と扱いやすさを両立した装置を作り上げます。
こんなサイト様がありました!見たところ「オテロ」の装置でしょうか。水や火を使う装置の場合、万が一があると大事故や劇場の汚損破損にもつながるので、ミスは許されません。
【大道具の仕事②パネル】
背景を描いたり、空間を区切ったりするために使います。袖幕の無い小さな劇場の場合、袖幕の代わりにもなったりします。くりぬいてドアを付けたり、細長く作って3枚を組み合わせると柱のようになったりと、いろいろ応用が利く上、使いまわしができるので、あると重宝します。
パネルだけだと安定しないので、「人形立て」…通称「人形」をパネルに装着し、「シズ」や「砂袋」といった重りを乗せて安定させます。
制作の様子はこちらのサイト様がとても分かりやすく紹介されています。VOTにも欲しい…!
なお、袖幕代わりに使う場合、高身長な出演者は注意が必要。普通は高さ6尺、181cmほどなので、それ以上の背丈だと頭が見えてしまいます…
【大道具の仕事③台組み】
いわゆる人を乗せる装置です。合唱や吹奏楽でおなじみの「平台」は脚次第で高さや安定性を自由にできます。強い強度と安定性が必要なものは金属製で、これにデコる形で舞台美術化します。
また、舞台面が客席に向かって傾斜している「八百屋舞台」は、人形立てを横にしたような構造で作ります。ヨーロッパの歌劇場はほとんどこれです。日本でもプロダクションによっては採用されています。
舞台の客席側を「面(つら)」、客席から遠いところを「奥」といいますが、英語だとそれぞれ「Down Stage」「Up Stage」と言うそうです。奥の方が高いからUP…なるほど分かりやすいね。ちなみに竹内の大学時代の師匠は、ドイツの歌劇場専属歌手時代に八百屋舞台のせいで腰を悪くしたそうです。
詳しくはこちら↓
http://www.sopia.or.jp/sennen/dougutotsukurimono01/dougutotsukurimono_hako.html
今回は別サイトへのリンクが多いなぁ…
【大道具の仕事④もはや建築】
メトロポリタン歌劇場「トゥーランドット」の装置です。もはや城建ててるやんけ!!
ここまでいくと、もはやどうやってるのか分かりません。分かりませんが、恐らく金属製の骨組みに発泡スチロールで造形したものを付け彩色してるものと思われます。わからんけど。
本当は今ごろ竹内と塙氏は松本市で「こうもり」に参加してたはずだったんですが、あれの装置もめちゃくちゃ凄いらしいです。やりたかったなぁ。
【絢爛豪華なオペラの大道具!】
こんな豪華な装置、潤沢な資金力と専門的な知識と技術がないと実現しません。いつかVivid Opera Tokyoでも、2階建て装置…とは言わないので、パネルくらいは欲しいなぁと思う今日この頃。保管場所と輸送手段が最大のネック…オペラっていろいろなものが必要なんです。でも、いつか必ず…!